皆さんこんにちは。
いよいよ新人戦まで2週間と近づいて参りました!
今回は、「『勝利』のための第一歩!」と題して、
競技ディベートに選手として、また教育者として長く携わってこられたディベートクラブ「たま。」主宰の武田顕司様から大会をより有意義に楽しむための目標の立て方について寄稿をいただきました!
新人戦に参加される方は、初めて大会に参加する文字通り新人の方、ディベート甲子園から続けて来られた方、大学のゼミとして、またサークルの活動として参加される方、さらには彼ら選手の先輩・指導者や、ディベートに興味を持って見学にお越し頂く方など、非常に多様です。以下の記事をお読みいただき、それぞれの立場やモチベーションに合わせて、それぞれの目標を持って新人戦にお越しいただければ幸いです。
『勝利』のための第一歩!
◆「勝利」を目指して
さて、新人大会にエントリーされた皆さんは「勝利」を目指して、準備や練習に勤しんでいることと思います。では、「勝利」とは何でしょうか。
かつて、ディベートクラブ「たま。」がディベート甲子園でディベート教育功労賞を頂いた時の謝辞にて、学生時代の恩師の言葉で「これまで自分がやってきたこと全てに意味がある、そう思える人が勝利者なんだ」というものを紹介させていただいたことがあります。
結論から言うと、新人大会に参加する方が一人ももれなく、そう思って大会を終えていただきたいし、もっと言うなら、大学・大学院を卒業する正にその瞬間に、ディベートを含めた大学生活において、「自分がやってきたことには全部意味があったな!」と心から思って頂きたいと私は考えています。
新人大会はそのための「第一歩」となり得るイベントです。
◆試合の勝敗が全てなのか
では、新人大会をそうした「第一歩」にするにはどうすればいいのでしょうか。
そこでおススメしたいのが、「目標を立てる」ということです。
「目標なんざ、立ててるよ!もちろん優勝じゃい!」という方も、一旦、冷静に考えてみてください。新人大会で優勝できるのはどんなに頑張っても1チームだけ。もし、優勝できたとしても本当に幸せでしょうか?
例えば、ものすごくひどい試合をしてしまい、自分の中でも納得いかないようなパフォーマンスの試合…そんな結果になってしまったら、優勝したとしても、良かったとは言えない場合もあるのではないでしょうか。
予選3試合して、ジャッジのバロット(得点)の高低で決勝進出の可否が決まる、これだけでも運の要素が強いのに(もちろん、準備や練習を重ねて、勝つ可能性を高めることは可能ですが)、決勝に上がったとしても、満足できるかどうかはわからない、そうした勝ち負け「だけ」の目標を立てるのはあまりよろしくないと思います。
「だけ」と書きましたが、もちろん、勝ち負けにこだわる事、優勝を目指して努力を重ねること自体も意味がある事だと思うので、「優勝が目標じゃい!」という方は是非、頂点を目指して頑張ってほしいと思います。
しかし、漠然と勝敗のみを目標にして大会を終えた場合、微妙な成績だったり、惨敗した場合、「何だったんだろう…」となってしまうのではないかと思います。
正直、それは、もったいない!
◆目標を立てる3つのステップ
そこで、勝敗と別にも「目標をたてる」ことが重要です。以下、3つのステップに分けて実践してみてください。
①自分の目標を立てる!
これは何でもいいです。自分で成長できた、達成できたと思える何かであればOKです。
例えば、立論を時間内に読むのが苦手というのであれば、本番では立論を時間内に読み切るとか、バロットで1回でも表現5点とるとか、自身に合わせた課題であればよいと思います。
極力、主観的なものではなく、客観的に結果がどうだったのか、言い換えれば、目標を達成できたかどうかを判断できるように、なるべく具体的な目標にしましょう。
上昇志向の高い人ほど、完璧な目標を立てがちですが、頑張ってぎりぎり手が届く位のもの方が、自身の確かな成長につながりやすいです。
②目標を紙に書く!
さて、目標を立てるだけで終わっては意味がありません。
立てた目標を忘れず、常に意識できるように紙に書きだす、携帯の待ち受けにする等して、常に頭の中に置いておきましょう。原稿をクリアファイルなどで管理している方は原稿のファイルの裏表紙に張り付ける等してもいいと思います。
③目標を周りに見せよう!
書いた目標をチームメイト同士で見せ合ったり、コーチしてくれている先輩に見せたりしましょう。これで、目標を取り下げたりできなくなります(笑)
それだけでなく、終わった後で、その目標を達成できたかどうかを見せた相手が客観的に判断してくれます。
ここまでやったら、後は、目標達成のために、日々、準備や練習に励むだけです。
◆目標の何が大事なのか
目標を設定して、それに向かって取り組み、達成していく事、それは、ディベートだけでなく、大学生活、またもっと大きく言えば人生で前進していくために必要なことだと思います。
目標を立てて達成していく成功体験を積むことが、自分の自信になるし、更なる高みを目指していく推進力になります。ディベートの準備から大会まではそうした1つの成長のためのプロジェクトなのです。もし、目標が達成できなかったとしても、なぜ達成できなかったのか反省することが、自分の弱点を知る事にもなるし、それが自身をさらに高めていくきっかけにもなります。
漠然とディベート大会に出るのは楽ですが、目標を持って大会に臨む方が何倍も価値ある時間にできるのです。
そうしたチャレンジを通してこそ、「自分のやってきたことには意味があった」と思えるのではないでしょうか。
これはディベート以外の諸活動においても通ずることです。そうしたサイクルを回せる自分を作り上げることができる、その第一歩のチャンスが新人大会だということです。
◆楽しくやろう!
「目標!目標!」と書いてきましたが、「別にディベート楽しみたいだけなんだけど」という方もいるかと思います。それも大いに結構。でも、両立できるよね?
だったら、楽しみながら、目標を立ててチャレンジしていって欲しいなぁと思います。
作曲家ベートーベンの言葉に「苦悩を突き抜け歓喜に至れ」というものがありますが、目標達成のための地道な努力は辛いかもしれませんが、その先には大きな喜びが待っています。是非、そうした歓喜を味わっていただきたいのです。
準備や練習に費やした苦労が報われる瞬間、それもまた大きな喜びであり、楽しみであり、ディベートの醍醐味でもあると思います。
◆宿題です!
さて、ここまで読んでいただいてありがとうございます。
ここで宿題です。
あなたが、新人大会に出場する選手であるならば、必ず、目標を立ててください。
あなたが、新人大会に出場する後輩の面倒を見ている先輩ならば、必ず、目標を立てるのを見守ってあげてください。そして、目標を聞いてあげてください。
あなたが、特に今回の大会に出ないのであれば、目標を立てて出場する選手を応援してあげてください。
6/9(日)、新人大会の会場にて、目標を達成できたかどうか、答え合わせ(?)をしたいと思います。
それでは、皆さん、新人大会でお会いしましょう!!