【全日本2018特集】ジャッジの方から出場選手にメッセージ

今回は本大会にジャッジとしてご協力いただける須田様より選手として出場される皆さまに、大会直前のアドバイスとメッセージをご寄稿をいただきました。本大会に参加される選手の方はぜひご覧になってください!

みなさん、はじめまして。須田泰彰と申します。私の方からは大会直前に準備した方が良いことを中心に、自らの選手としての経験や審判としての経験を踏まえて話したいと思います。

1 直前に取り組むべきこと

大会直前に議論を大幅に修正することはかなりリスクが高いことですので、あまりおすすめしません。大会直前には、今ある議論を100%回しきるということに力を割くことをおすすめします。そこで、大会直前にもできることを3つ上げたいと思います。
①主張(クレーム)の精査
おそらく選手のみなさんは各々の議論について「主張+証拠資料」で構成されているかと思います。良い証拠資料をそろえることはもちろん大切ですが、それだけでなく「主張」をいかに簡潔で分かりやすい文章にするかが重要です。特に近年、選手の質が向上しており求められる立証水準は高くなっていますが、スピーチできる時間は増えていません。そのため、なるべく濃密な立証をするためにも「主張」を簡潔なものにすることが必要になっています。主張を簡潔にすることにより、スピーチの速度を落とすことができますので、ジャッジに伝わりやすいスピーチになります。
ただし、あまりに簡潔にしすぎることで、ジャッジに議論を自分たちの思っているように評価されないリスクが上がります。そのため、主張を簡潔にして文字数を削減するものの、ジャッジに伝わるようわかりやすい文章にすることを心がけてください。
具体的には以下のことを心がけると良いでしょう。
○結論と理由づけを盛り込む。
○一文は可能な限り短くする
○平易な単語を使用する
これらを最低限意識するだけで、簡潔で分かりやすいスピーチができるようになると思います。ほかにも、場合分けをして説明することで分かりやすくなることもあります。いま一度、主張を精査してみてください。

② 議論展開の仕方をチーム内で共有
想定される議論に対してどのように質疑や反駁をしていくのか、チーム内で再度認識を共有することが大切になります。チーム内で認識を統一しておかないと、立論者と反駁者がそれぞれ別々に作業して試合に臨んだ結果、立論と反駁で相反する議論を展開するということが起こり得ます。これを防ぐために、まずは議論の展開の仕方をチーム内全員で共有しておきましょう。
余裕があるチームは議論の優先順位も決めておくと良いでしょう。相手の議論によって、時間的に余裕がある場合もあれば、ない場合もあります。特に時間的に余裕がない場合は、議論の取捨選択が必要になるので、あらかじめ議論の優先順位をチーム内で共有しておくと良いと思います。

③ スピーチ練習
最後はスピーチ練習をしましょう。まずは、滑らかに読めるように頑張りましょう。滑舌に自信がない人は、(Ⅰ)腹式呼吸で発声すること、(Ⅱ)呼吸ポイントを決めておくことでスピーチの聞き取りやすさが大幅に改善されることがあります。特に、事前にスピーチ練習をしながら呼吸ポイントを決めておくだけで、意外とつっかえずに原稿を読むことができます。また各議論をどのくらいの時間で読むことができるのか、原稿に記載しておくと良いでしょう。
同じ議論を展開しても聞き取りづらいスピーチの場合、ジャッジに十分理解されない場合があります。ディベートは、プレゼンテーションなどと異なり視覚情報が一切ない中でのコミュニケーションです。原稿を書くだけでなく、十分スピーチ練習をして大会に望みましょう。
現在も一線で活躍しているディベーターの大半は、しっかりスピーチ練習をしてきています。ぜひ大会まで可能な限り、スピーチ練習をしてみてください。

2 大会当日の過ごし方

まずはディベートを楽しんでもらえれば、それで良いと思います。
もし余裕があれば、審判がどうしてそのような判定を下したのかきちんと聞いてみてください。その上で、わからないことがあれば積極的に質問してください。悔しくてそれどころではないかもしれませんが、特に負けた試合は議論が評価されなかった理由をきちんと聞きましょう。そして審判からのコメントを、次の大会に活かしましょう。これを何回も繰り返すことで徐々に「誰かを説得する力」が身についていきます。

3 出場選手へのメッセージ

残りあとわずかです。体調には気を付けつつ、大会当日に思いっきりディベートを楽しみましょう。そして大会の結果に関わらず、このシーズンや大会を通じた得た知識や経験は必ずやみなさんの人生の糧になることでしょう。
それでは、みなさんと大会でお会いできることを心から楽しみにしております。あと少し、頑張ってください!


ご寄稿ありがとうございました!選手の皆さまはアドバイスを参考にしつつ、大会準備頑張ってください!