PRESS #4 大学からディベートを始めた皆さんへ

 5月もあとわずか、新人戦の季節も迫ってきました。新人ディベーターの皆さん、大会に向けた調整は順調ですか?

本日のCoDA PRESSでは、新人戦に挑戦する学生の皆さんの中でも、特に「大学で初めてディベートに出会った人」に向けたメッセージをお送りします。自身も大学からディベートを始めた経歴を持つ当連盟理事の林より、上手くなるためのコツや試合に臨む時の心構えについてアドバイスをさせていただくので、是非読んで大会に備えてください!

 

新人大会に参加される予定の皆さん、準備のほうはいかがでしょうか。皆さんが出場する新人大会には、大学からディベートを始めた「新人」以外にも、例年、中学・高校時代にディベートを経験した選手も多く大会に出場します。そのため、大学からディベートを始めたばかりの方にとっては、そのような中高でのディベート経験者(以下単に「経験者」といいます。)との実力の差に悩むこともあるでしょう。

そこで、今回は、大学からディベートを始めた経歴の私から、近く迫った新人大会に向けて、主に大学からディベートを始めた方に向けて、経験者との差についてどう考えればよいかを述べたいと思います。

【1 実力の差があるのは当たり前】

大学からディベートを始めた皆さんにとって、経験者は同じチームになれば心強い一方、対戦相手となると、議論の構成力やスピーチ力で歯が立たないといったことがあるでしょう。特に、中高時代にディベートをやっていて、その上、大学でもディベートを続けようと大会に出場するような経験者は、中高時代に大会で上位に入賞した経歴を持つなどの実力者も多いのが実態です。そのため、大学からディベートを始めた皆さんは、経験者が相手の試合でほとんど一方的に圧倒されて負けてしまい、その力の差を痛感することも多いでしょう。そして、残念なことですが、大学からディベートを始めた方が、新人大会で経験者の高い壁に跳ね返されて、その後ディベートをやめてしまうという方も少なからず存在します。

しかしながら、長ければ6年間ディベートを続けていた経験者は、それだけ多くの時間を使って議論に接し、人前でスピーチをする経験を積み、また、競技としてのディベート特有のノウハウも身につけてきたため、高い実力を持っているのです。

ディベートでのスピーチは、普段の会話で自分の意見を言うことのある種の延長線上にあるため、ディベートをはじめて少し経つと、練習を積めばすぐに経験者に追いつけると思いがちです。しかし、例えば、中高のサッカー部出身者に対して、大学からサッカーを始めた人が、(たとえ運動神経がすごく良くても)すぐに勝つことは難しく、ボールを操る技術に差があるでしょう。

このように、経験者とディベートを始めて数か月の皆さんとの間に実力の差があるのは言わば当たり前のことなのです。

【2 チームメイトも対戦相手も先生である】

それでは、そのような実力の差があるとして、どうすればその差を埋められるのでしょうか。そのヒントは、対戦相手は「敵」ではなく「先生」でもあるということにあります。

どういうことかというと、試合では、対戦相手から自分たちの議論に対して多くの反論がされます。しかし、それは自分たちの議論の論理が繋がっていなかったり、わかりにくかったりする部分を指摘するものであり、視点を変えてみれば、自分たちの議論の弱いところを教えてくれているのです。

試合の結果に一喜一憂することもディベートの醍醐味の一つですが、試合の後には、自分たちの主張が通らなかったと傲慢な態度をとったり、自分の実力が足りなかったことに過度に悲観的になったりせず、対戦相手から受けた反論の内容を一つ一つ検討すると、自分たちの議論がよりよくなるでしょう。それ以外にも、対戦相手のスピーチのよいところや上手い言い回しを積極的にマネする等、対戦相手から学ぶことはとても多いです。

実際に、大学からディベートを始めた人の中でも、一つ一つの試合における対戦相手やジャッジからの指摘を真摯に受け止める姿勢を持っている選手が、短期間でディベートの実力を伸ばしているように感じます。

 

【3 大会のその先に】

少し説教臭くなりましたが、以上述べたことをまとめると、是非大学からディベートを始めた皆さんには、新人大会(その準備期間を含む)で多くのことを学び、自分のディベートの実力や物事に対する考え方をレベルアップさせるきっかけとしてもらいたいです。

そして、少し気が早いですが、皆さんがこの先ディベートを続けていったとき、同じように大学からディベートを始めた後輩に、皆さんの経験を伝えてください。皆さんの新人大会での健闘を期待しております。