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全日本ディベート連盟(CoDA)の理事が、交代でそれぞれのディベートに対する考え方やイベント参加者の皆さまへのメッセージを投稿していきます。プレスリリースとあわせて是非チェックを!

PRESS #3 Welcome Cup観戦記

 去る4月30日、CDS Projectのキックオフ企画、”Welcome Cup 2017”が行われました!本大会には計8チームが参加し、白熱した試合が繰り広げられました。本日のCoDA PRESSでは、このWelcome Cupの模様や、ファイナリストへのインタビュー記事をお届けします。

 

※CDS Project(Co-Create The New Debate Style)は、日本語における即興型ディベートを一つのジャンルとして確立するため立ち上げられたPJです。Welcome Cupのような大会のほか、勉強会等も開催しております。詳しくは以下Facebookページまで。

 https://www.facebook.com/CDS.Project/

 

予選

 

 即興型ディベートでは、試合の20分前に論題が発表され、そこからチームで立論や反駁を準備します。日本語ではあまり行われてこなかったフォーマットに悩みながらも、選手の皆さんは短時間の準備とは思えないような分かりやすく説得的な議論を展開していました。

 

 

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緊張の論題発表の瞬間!「教育」「政治」にまさかの「恋愛」まで、様々な論題が扱われました。

 

 

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突然示される難題に頭を抱える局面も……?

 

 

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本大会ではコミュニケーションのポイントが全体の半分を占めるため、議論を作るのみでなく、いかに分かりやすく、説得的に語るかという工夫も見られます。

 

 

決勝戦

 

 そしていよいよ決勝戦!発表された論題は、「夫婦は別姓にすべきである」。現代日本でも家族のあり方を議論する上で避けては通れない難題は、ファイナリストの2チームによってどのように議論されるのでしょうか……?

 

 肯定側は、夫婦の片方に強制を伴うことやキャリア形成における不都合など、夫婦同姓の問題点を色々な人の目線で指摘し、よりよい自己実現のために夫婦別姓が必要であると主張します。

一方否定側は、そもそも肯定側が論題を肯定できていないのではないか、というテクニカルな指摘に始まり、夫婦別姓は夫婦仲や子供の教育に悪影響を及ぼす可能性があるのではないか、と主張しました。

 

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スピーチの終わりごとに大きな拍手が起こる白熱した試合!会場は大盛り上がりでした。

 

 

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 講評の様子。

 主審の兼子さんは、ご自身の経験やジェンダー論のアカデミックな知見を踏まえ、ハイレベルな試合を総括してくださいました。ディベートでの議論は決して会場内で終わるものではなく、現実を過ごす私たち一人ひとりの人生と地続きなのだと改めて実感させられます。

 

 

そして、いよいよ結果発表!

この決勝戦はオーディエンス票が否定側、そして専任ジャッジの4票が肯定側に入り、結果は4-1で肯定側の勝利となりました!

また、ベストディベーター賞には優勝チームの小林さんが選ばれました。

 

 

ファイナリストへのインタビュー

 

準優勝 畑野・大澤チーム

 

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――この日本語即興型ディベートの大会に出てみての感想を教えてください。

 

(大澤)即興型は、日頃どれだけ色々なものにレーダーを張って生活しているか、がとても重要なフォーマットだと思いました。たとえば、政治と恋愛、みたいな全く別ジャンルの論題を両方事前準備なしでこなさなければいけないので、どっちかにしか関心が無い、みたいな人だと対応しきれなかったり(笑)

私も苦戦するところがあって、ニュースを観たりして得る知識と人間関係を深めたりする経験のどちらもバランスよく大事にしないといけないと感じました。

 

――おふたりは決勝戦でも、とても整理されたわかりやすいスピーチをしていたと感じました。準備・試合通して意識していることなどあれば教えてください。

 

(畑野)即興型では調査型ディベートと違い、統計の比較のような各論で差を付けることができません。そのため、「どのような判断基準で勝敗が決まるのか」という議論の構造を常に意識して、ジャッジが自分たちの側に投票しやすいフィールドを作る、ということを心がけました。相手の言っていることも認めた上で、世界観で上回るようなディベートを目指しました。

 

――今後この即興型の大会に参加してくれる人たちに向けて、メッセージなどあればお願いします!

 

(畑野)僕はこの大会に出てジャッジの方のフィードバックを受ける中で、自分の新しい課題なども見えてきました。ディベートは1回1回の試合から色々な学びがあって、勝ち負けを問わず成長していける競技なので、「まだ未熟だ」とか「負けるのが嫌だ」という理由で物怖じせず、どんどんチャレンジする精神を持ってほしいな、と思います。僕も決勝で負けたのは本当に悔しいですが……(笑)

(大澤)先程も触れましたが、即興型は色々な話題に触れられるという意味でも純粋に刺激的で楽しい競技なので、今後も仲間が増えるといいなと思っています!

 

 

優勝 栗原・小林チーム

 

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――この日本語即興型ディベートの大会に出てみての感想を教えてください。おふたりは英語の即興ディベートにも関わっていると思うので、そこの差なども感じるところがあれば。

 

(栗原)いつも英語で即興ディベートをやっていたので、まず言葉とかがパッと出てきづらいところがありました(笑)

あと、日本語の方がべき論・理念よりも、実益や事実の争いの比重が重いように感じました。ただ、ジャッジは僕らの理念的な議論を比較的大きく取ってくれたので、ここはまだスタイルが固まっていないところなのかなと思います。

 

(小林)すごく楽しかったです!

英語だと、やはり母国語じゃないぶん語学力でごまかされてしまう部分があったりするんですけど、母国語だと完全に中身の勝負にできて、より掘り下げた議論ができたように思いました。

 

 

――準備や試合で意識していることがあれば教えてください。

 

(栗原)個々の試合のプレパでは、「最終的にどういう勝ち方をするか」という大きな落としどころやストーリーをしっかり考えるようにしていました。メカニズムを細かく積み上げるだけではなくて、一歩踏み込んで大きな価値観の部分を固めておくと、瑣末な議論にこだわらない戦い方ができると思います。

 

(小林)普段は、論題を見て10分でどれだけの議論が準備できるか、といった「準備時間の練習」も行っています。スピーチは1人でも練習できるけど、議論の準備は話し合いが必須なので……。

あと、大会は出れば出るほど上手くなります!自分のあまり知らない論題・議論に出会ったり、様々な価値観やバックグラウンドを持つジャッジからフィードバックを貰ったりできるので、一番成長できる場だと思います。

 

 

――今後この即興型の大会に参加してくれる人たちに向けて、メッセージなどあればお願いします!

 

(小林)ディベートと一口に言っても言語や調査型・即興型の違いのように、色々な大会があってそれぞれ一長一短なので、色々な大会に行ってみて経験を積み重ねていってほしいと思います。たとえば、英語ディベートをやっている人も、日本語の大会に行くとより深い分析に出会って勉強になったりすることがあったり……。

自分に合うスタイルや自分に足りないものを、その中で学んでいけたらより良いディベーターになれるんじゃないかな、と思います。

 

 

 ファイナリストの皆さんは、それぞれ「日本語・即興型」に固有の面白さを見出して大会にのぞまれていたようですね。取材にご協力いただきありがとうございました!今後CDSの企画に参加を検討されている方々も是非参考になさってください。

 

 最後になりましたが、素晴らしい大会を作ってくださった選手の皆さま、ジャッジ・スタッフの皆さま、本当にありがとうございました。

 Welcome Cupは終始雰囲気が和やかで、選手間での交流も盛んだったと感じました。高校で調査型ディベートをやっていた人、英語ディベートに関わっている人、そしてディベート初体験の人……。これからも様々なバックグラウンドを持つ人が集まって、この日本語即興型ディベートの世界を豊かにしていってくれたら、と思っております。選手だけでなく、運営など別の形での参加も広げていくようなので、今後もこのプロジェクトをよろしくお願いします!

 

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  2017/05/13

PRESS #2 新人大会に向けて

皆さんこんにちは!昨日ついにCoDA全日本学生新人ディベート大会の要綱がリリースされ、いよいよ本格的なディベートシーズンが幕を開けました。

さて、本日のCoDA PRESSでは、多くの大会でジャッジを務めている当連盟理事の田中から、新人大会に出場するに皆さんへのアドバイスをお届けします。特に新人大会に参加を考えている方やサークルで新入生を指導する方は、ディベート経験の有無に関わらず是非ご一読ください!

 

 

【新人戦に参加される皆さんに期待したい(≒これだけはやってほしくはない)こと】

 

 私が新人戦に参加したのは10年程前になります。中学時代からディベートに取り組んでいた私は「新人」とはいえない立場でしたが、大学から始めたメンバーと組んで4人チームとして出場しました。結果は2勝1敗でした。悔しい思いもありましたが、審査員の方々からは目指していたディベートの方向性を評価して頂けたこともあり、非常に満足していたことを覚えています(どういう方向性であったかは以下の文章から推察ください)。

 近年ではほぼ毎年、新人戦の審査員を務めさせていただいておりますが、自分が出た時の経験も踏まえ、今年出場する皆さんにはぜひ以下に挙げるような姿勢で大会に臨んでいただきたいと思っています。ここでは参加者層に合わせ、1.参加者全員、2.ディベート未経験者、3.ディベート経験者の3つに分けて整理をします。

 

1.参加者全員

 

(1)サークルの枠を超えて、同期(=強敵=ライバル)との交流を大切にしよう

 社会に出てから特に強く感じますが、同期は特別な存在です。皆さんにとって、ディベートという「共通言語」を介することで、この大会に出場した選手一人一人がよき理解者、同志、時にはライバルとして、互いを高め合う存在になり得ます。願わくばサークル外にそうした存在を積極的に求めてください。皆さんの世界はきっと広がります。

 

(2)審査員に必ず質問をしよう

 同期と同じくらい、もしかしたらそれ以上に皆さんの世界を広げてくれる存在の一人が審査員です。審査員の大半はみなさんと同じように選手としてディベート大会に出場した経験(というか今も出場し続けている人も結構多い)を持つ方々であり、皆さんが通っている、あるいは通るであろう道を通っています。どんな質問でもいいですから、1試合につき最低1つは質問してみてください、試合の流れに関係あるなしに関わらずです。社会に出てからは特に問われますが、質問をする=今自分がしていることに積極的、真剣に取り組んでいることの表れとなります。審査員はみなさんからの質問を常に待ち望んでいます。

 

(3)(決勝戦出場者以外)決勝戦は自分が審査員ならという視点で、判定を出すことに挑戦しよう

 ディベートに勝つための近道の一つは「審査員の思考や気持ちを理解する」ことにつきます。そのためには、審査員と同じ体験をする必要があり、決勝戦はそのよい機会となります。「同期」のディベートを冷静に眺めるとともに、自分が彼らに勝つためには何が必要なのかを分析することができ、審査員の判定と自分の判定を比較することで審査員の思考や気持ちを理解する一助になります。決勝戦に出れなかったからふてくされるより、よほど生産的ですよ。

 

2.ディベート未経験者

 

(1)ディベート経験者の言うことをまずは「理解」する

 チームメートにディベート経験者がいる場合、おそらく始めは彼らが議論の準備や試合を主導することになるかと思います。その際に気を付けるべきこととして、彼らの言うことを「理解」はしても、すぐに「納得」しないようにすることが肝要です。彼らは良くも悪くも「これまでのディベート(おそらく大半は教室ディベート)」の枠組みに基づいて準備や議論の検討をすると思いますが、これから皆さんが取り組むディベートは必ずしも「これまでのディベート」とは同じものではありませんし、ディベート未経験者の皆さんだからこそ思いつくことが出来る議論の発想や試合の展開があると思います。ディベート経験者のチームメートがいても臆することなく、今の自分が正しいと思う直観に従って意見をぶつけ合ってみてください。

 

(2)対戦相手は「敵」ではなく、よりよい議論をするための「仲間」として受け止めよう

 ディベートを始めた時分によく勘違いしやすいのですが、試合の対戦相手は「敵(もっというと説得相手)」ではありません。あくまで肯定側・否定側という「役割」をともに与えられた「仲間」です。ディベートは片方の論だけでは成り立ちえず、自分と異なる論が出てくることで初めて「議論」となります。時に試合がヒートアップする(特に質疑応答)と相手を言い負かすことに主眼を置いたスピーチを見ることがありますが、これはいただけません。対戦相手は自分の論を高めてくれる存在であり、自分の主張をぶつけるだけではなく、相手の主張に耳を傾け、自分たちの主張との相違点を見つけることに重きを置いてみましょう。

 

3.ディベート経験者

 

(1)ディベート未経験者の言うことを「尊重」する

 これはディベート未経験者に対して期待すること(1)の裏返しになりますが、ディベートを経験しているからこそ、経験者の皆さんは未経験者の意見を「尊重」しましょう。彼らの意見はきっとこれまでのディベートでは得ることが出来なかった見方や発想を皆さんに与えてくれます。

 

(2)「これまでのディベート」をいったん捨ててみる

 本コラムと同時にリリースした新人戦の要綱をご覧頂ければわかりますが、「これまでのディベート」とは形式が異なり、対抗政策(カウンタープラン)を提示することが可能です。議論を検討する段階から、いったんこれまでの発想を捨てることで、新しい着想を得ることが出来るのではないでしょうか。

 

 以上、長々と書いてしまいましたが、参加される皆さん一人ひとりが新人戦を通じて「fun」と「interest」を発見していただければ何よりです。試合会場でお待ちしております。

 

※大会要綱や特別企画についての詳細は以下のページにて公開しております。

 http://www.coda.or.jp/news/archives/83

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  2017/04/09

PRESS #1 開設のおしらせ

 皆さんこんにちは。NPO法人全日本ディベート連盟(CoDA)理事の佐久間です。本日は、このCoDA PRESS開設のおしらせとして投稿しています!

 

 「ディベートの普及と発展とを通じて社会に貢献する」

 

 これがホームページに記載した私たちCoDAのミッションですが、さらにその先には、ディベートの枠にとどまらない「議論文化」そのものの普及という目的があります。「ディベート」という言葉が物珍しさを失った今日、私たちCoDAの理事の中でも、様々な角度から新しいアプローチを試みていく必要があると認識し、日々活動を行っています。

 こうした私たちの考え方を、より多くの方に知っていただくにはどうしたらよいか。そうした問題意識のもと、このCoDA PRESSは開設されました。およそ月に1度のペースでCoDAの理事が投稿を行い、ディベートに関するそれぞれの考え方や、CoDAのイベントに参加してくださる方々へのメッセージなどを発信します。是非今後もチェックしてみてください!

 

 

 初回である今回は、「議論文化」って何だろう、ということについて、私個人が考えたことを書かせていただこうと思います。

 

 このことを考えるとき、私はよく明治時代の中江兆民という思想家の作品、『三酔人経綸問答』を思い出します。

 この作品は、議論好きの「南海先生」と、彼の家に訪れた「紳士君」「豪傑君」という真っ向から対立する考えを持つ2人の客が繰り広げる議論を描いたもの。2人の客が酒を飲みながら火花を散らすように議論を展開し、そして南海先生が両者を聞いた上で、「南海先生胡麻化せり」と題した章で一つの結論を下す、という構成です。

 そのさまは、まさに肯定側と否定側の論戦をジャッジが評価する競技ディベートそのもの。ただし、明確に勝敗がつくのではなく、南海先生の結論は現実主義的で、まさに「ごまかす」ような歯切れの悪いものとなっています。そして、「いやしくも国家百年の大計を論ずるようなばあいには、奇抜を看板にし、新しさを売物にして痛快がるというようなことが、どうしてできましょうか」――南海先生は最後に、意思決定において求められる慎重さを説くのです。

 

 この「歯切れの悪さ」こそ、ディベートで真に学ぶべきもの――「議論文化」なのではないか。私はそんなふうに思います。どんな議論にも、つぶさに検証がなされ、ときに痛烈な反駁がなされる。それを受けて、より良い議論を考える。そんなプロセスは、反対意見への寛容を忘れず、答えのない問いに対して少しでも説得的な結論を組み立てていく現実の意思決定そのものです。

 

 そして同時に、きっとそのプロセスは、「競技ディベート」として用意された空間に限られるものではありません。ディベートをしていない友達や同僚とだって、家に集まった「酔人」たちとだって、きっと同じように展開できるはず。実際ディベーターって、試合以外の場所でも延々と議論をするのが好きな人が多い気がしますよね。南海先生たちのように、違う意見を言い合って吟味し合うプロセス自体を愛せるようになれるのがディベートのひとつの魅力なのかもしれません。

 そして、ディベートのコミュニティにおいても、ひとつの形のディベートだけに拘らず、「議論文化の普及」に資する、よりディベート空間の”外”とも接続したプログラムを提供すべきなのではないか。そんなことも、あわせてふと考えました。

 

 

 さて、この話は私個人の考えですが、実はCoDAとしても、そんなコンテンツを提供できないかと目下準備中です。

 

 より誰でも参加しやすく。

 そして、よりディベート空間”外”にも開かれた。

 

 そんな、ひとつの新しいディベートのスタイルをCoDAは今考えています。今年の5月、手探りながらもその第1回のプログラムをリリースする予定なので、興味のある方は是非プレスリリースにご注目を!

 

 新年度もCoDAを、そしてこのCoDA PRESSをどうぞよろしくお願いします!

 

(引用箇所は中江兆民(1965)『三酔人経綸問答』 桑原 武夫・島田 虔次訳,岩波文庫より)

CoDA理事 佐久間弘明

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  2017/03/20