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2017年05月

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2017年05月

PRESS #4 大学からディベートを始めた皆さんへ

 5月もあとわずか、新人戦の季節も迫ってきました。新人ディベーターの皆さん、大会に向けた調整は順調ですか?

 本日のCoDA PRESSでは、新人戦に挑戦する学生の皆さんの中でも、特に「大学で初めてディベートに出会った人」に向けたメッセージをお送りします。自身も大学からディベートを始めた経歴を持つ当連盟理事の林より、上手くなるためのコツや試合に臨む時の心構えについてアドバイスをさせていただくので、是非読んで大会に備えてください!

 

 

 新人大会に参加される予定の皆さん、準備のほうはいかがでしょうか。皆さんが出場する新人大会には、大学からディベートを始めた「新人」以外にも、例年、中学・高校時代にディベートを経験した選手も多く大会に出場します。そのため、大学からディベートを始めたばかりの方にとっては、そのような中高でのディベート経験者(以下単に「経験者」といいます。)との実力の差に悩むこともあるでしょう。

 そこで、今回は、大学からディベートを始めた経歴の私から、近く迫った新人大会に向けて、主に大学からディベートを始めた方に向けて、経験者との差についてどう考えればよいかを述べたいと思います。

 

【1 実力の差があるのは当たり前】

 大学からディベートを始めた皆さんにとって、経験者は同じチームになれば心強い一方、対戦相手となると、議論の構成力やスピーチ力で歯が立たないといったことがあるでしょう。特に、中高時代にディベートをやっていて、その上、大学でもディベートを続けようと大会に出場するような経験者は、中高時代に大会で上位に入賞した経歴を持つなどの実力者も多いのが実態です。そのため、大学からディベートを始めた皆さんは、経験者が相手の試合でほとんど一方的に圧倒されて負けてしまい、その力の差を痛感することも多いでしょう。そして、残念なことですが、大学からディベートを始めた方が、新人大会で経験者の高い壁に跳ね返されて、その後ディベートをやめてしまうという方も少なからず存在します。

 しかしながら、長ければ6年間ディベートを続けていた経験者は、それだけ多くの時間を使って議論に接し、人前でスピーチをする経験を積み、また、競技としてのディベート特有のノウハウも身につけてきたため、高い実力を持っているのです。

 ディベートでのスピーチは、普段の会話で自分の意見を言うことのある種の延長線上にあるため、ディベートをはじめて少し経つと、練習を積めばすぐに経験者に追いつけると思いがちです。しかし、例えば、中高のサッカー部出身者に対して、大学からサッカーを始めた人が、(たとえ運動神経がすごく良くても)すぐに勝つことは難しく、ボールを操る技術に差があるでしょう。 

 このように、経験者とディベートを始めて数か月の皆さんとの間に実力の差があるのは言わば当たり前のことなのです。

 

【2 チームメイトも対戦相手も先生である】

 それでは、そのような実力の差があるとして、どうすればその差を埋められるのでしょうか。そのヒントは、対戦相手は「敵」ではなく「先生」でもあるということにあります。 

 どういうことかというと、試合では、対戦相手から自分たちの議論に対して多くの反論がされます。しかし、それは自分たちの議論の論理が繋がっていなかったり、わかりにくかったりする部分を指摘するものであり、視点を変えてみれば、自分たちの議論の弱いところを教えてくれているのです。

 試合の結果に一喜一憂することもディベートの醍醐味の一つですが、試合の後には、自分たちの主張が通らなかったと傲慢な態度をとったり、自分の実力が足りなかったことに過度に悲観的になったりせず、対戦相手から受けた反論の内容を一つ一つ検討すると、自分たちの議論がよりよくなるでしょう。それ以外にも、対戦相手のスピーチのよいところや上手い言い回しを積極的にマネする等、対戦相手から学ぶことはとても多いです。

 実際に、大学からディベートを始めた人の中でも、一つ一つの試合における対戦相手やジャッジからの指摘を真摯に受け止める姿勢を持っている選手が、短期間でディベートの実力を伸ばしているように感じます。

 

【3 大会のその先に】

 少し説教臭くなりましたが、以上述べたことをまとめると、是非大学からディベートを始めた皆さんには、新人大会(その準備期間を含む)で多くのことを学び、自分のディベートの実力や物事に対する考え方をレベルアップさせるきっかけとしてもらいたいです。

 そして、少し気が早いですが、皆さんがこの先ディベートを続けていったとき、同じように大学からディベートを始めた後輩に、皆さんの経験を伝えてください。皆さんの新人大会での健闘を期待しております。

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  2017/05/26

PRESS #3 Welcome Cup観戦記

 去る4月30日、CDS Projectのキックオフ企画、”Welcome Cup 2017”が行われました!本大会には計8チームが参加し、白熱した試合が繰り広げられました。本日のCoDA PRESSでは、このWelcome Cupの模様や、ファイナリストへのインタビュー記事をお届けします。

 

※CDS Project(Co-Create The New Debate Style)は、日本語における即興型ディベートを一つのジャンルとして確立するため立ち上げられたPJです。Welcome Cupのような大会のほか、勉強会等も開催しております。詳しくは以下Facebookページまで。

 https://www.facebook.com/CDS.Project/

 

予選

 

 即興型ディベートでは、試合の20分前に論題が発表され、そこからチームで立論や反駁を準備します。日本語ではあまり行われてこなかったフォーマットに悩みながらも、選手の皆さんは短時間の準備とは思えないような分かりやすく説得的な議論を展開していました。

 

 

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緊張の論題発表の瞬間!「教育」「政治」にまさかの「恋愛」まで、様々な論題が扱われました。

 

 

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突然示される難題に頭を抱える局面も……?

 

 

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本大会ではコミュニケーションのポイントが全体の半分を占めるため、議論を作るのみでなく、いかに分かりやすく、説得的に語るかという工夫も見られます。

 

 

決勝戦

 

 そしていよいよ決勝戦!発表された論題は、「夫婦は別姓にすべきである」。現代日本でも家族のあり方を議論する上で避けては通れない難題は、ファイナリストの2チームによってどのように議論されるのでしょうか……?

 

 肯定側は、夫婦の片方に強制を伴うことやキャリア形成における不都合など、夫婦同姓の問題点を色々な人の目線で指摘し、よりよい自己実現のために夫婦別姓が必要であると主張します。

一方否定側は、そもそも肯定側が論題を肯定できていないのではないか、というテクニカルな指摘に始まり、夫婦別姓は夫婦仲や子供の教育に悪影響を及ぼす可能性があるのではないか、と主張しました。

 

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スピーチの終わりごとに大きな拍手が起こる白熱した試合!会場は大盛り上がりでした。

 

 

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 講評の様子。

 主審の兼子さんは、ご自身の経験やジェンダー論のアカデミックな知見を踏まえ、ハイレベルな試合を総括してくださいました。ディベートでの議論は決して会場内で終わるものではなく、現実を過ごす私たち一人ひとりの人生と地続きなのだと改めて実感させられます。

 

 

そして、いよいよ結果発表!

この決勝戦はオーディエンス票が否定側、そして専任ジャッジの4票が肯定側に入り、結果は4-1で肯定側の勝利となりました!

また、ベストディベーター賞には優勝チームの小林さんが選ばれました。

 

 

ファイナリストへのインタビュー

 

準優勝 畑野・大澤チーム

 

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――この日本語即興型ディベートの大会に出てみての感想を教えてください。

 

(大澤)即興型は、日頃どれだけ色々なものにレーダーを張って生活しているか、がとても重要なフォーマットだと思いました。たとえば、政治と恋愛、みたいな全く別ジャンルの論題を両方事前準備なしでこなさなければいけないので、どっちかにしか関心が無い、みたいな人だと対応しきれなかったり(笑)

私も苦戦するところがあって、ニュースを観たりして得る知識と人間関係を深めたりする経験のどちらもバランスよく大事にしないといけないと感じました。

 

――おふたりは決勝戦でも、とても整理されたわかりやすいスピーチをしていたと感じました。準備・試合通して意識していることなどあれば教えてください。

 

(畑野)即興型では調査型ディベートと違い、統計の比較のような各論で差を付けることができません。そのため、「どのような判断基準で勝敗が決まるのか」という議論の構造を常に意識して、ジャッジが自分たちの側に投票しやすいフィールドを作る、ということを心がけました。相手の言っていることも認めた上で、世界観で上回るようなディベートを目指しました。

 

――今後この即興型の大会に参加してくれる人たちに向けて、メッセージなどあればお願いします!

 

(畑野)僕はこの大会に出てジャッジの方のフィードバックを受ける中で、自分の新しい課題なども見えてきました。ディベートは1回1回の試合から色々な学びがあって、勝ち負けを問わず成長していける競技なので、「まだ未熟だ」とか「負けるのが嫌だ」という理由で物怖じせず、どんどんチャレンジする精神を持ってほしいな、と思います。僕も決勝で負けたのは本当に悔しいですが……(笑)

(大澤)先程も触れましたが、即興型は色々な話題に触れられるという意味でも純粋に刺激的で楽しい競技なので、今後も仲間が増えるといいなと思っています!

 

 

優勝 栗原・小林チーム

 

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――この日本語即興型ディベートの大会に出てみての感想を教えてください。おふたりは英語の即興ディベートにも関わっていると思うので、そこの差なども感じるところがあれば。

 

(栗原)いつも英語で即興ディベートをやっていたので、まず言葉とかがパッと出てきづらいところがありました(笑)

あと、日本語の方がべき論・理念よりも、実益や事実の争いの比重が重いように感じました。ただ、ジャッジは僕らの理念的な議論を比較的大きく取ってくれたので、ここはまだスタイルが固まっていないところなのかなと思います。

 

(小林)すごく楽しかったです!

英語だと、やはり母国語じゃないぶん語学力でごまかされてしまう部分があったりするんですけど、母国語だと完全に中身の勝負にできて、より掘り下げた議論ができたように思いました。

 

 

――準備や試合で意識していることがあれば教えてください。

 

(栗原)個々の試合のプレパでは、「最終的にどういう勝ち方をするか」という大きな落としどころやストーリーをしっかり考えるようにしていました。メカニズムを細かく積み上げるだけではなくて、一歩踏み込んで大きな価値観の部分を固めておくと、瑣末な議論にこだわらない戦い方ができると思います。

 

(小林)普段は、論題を見て10分でどれだけの議論が準備できるか、といった「準備時間の練習」も行っています。スピーチは1人でも練習できるけど、議論の準備は話し合いが必須なので……。

あと、大会は出れば出るほど上手くなります!自分のあまり知らない論題・議論に出会ったり、様々な価値観やバックグラウンドを持つジャッジからフィードバックを貰ったりできるので、一番成長できる場だと思います。

 

 

――今後この即興型の大会に参加してくれる人たちに向けて、メッセージなどあればお願いします!

 

(小林)ディベートと一口に言っても言語や調査型・即興型の違いのように、色々な大会があってそれぞれ一長一短なので、色々な大会に行ってみて経験を積み重ねていってほしいと思います。たとえば、英語ディベートをやっている人も、日本語の大会に行くとより深い分析に出会って勉強になったりすることがあったり……。

自分に合うスタイルや自分に足りないものを、その中で学んでいけたらより良いディベーターになれるんじゃないかな、と思います。

 

 

 ファイナリストの皆さんは、それぞれ「日本語・即興型」に固有の面白さを見出して大会にのぞまれていたようですね。取材にご協力いただきありがとうございました!今後CDSの企画に参加を検討されている方々も是非参考になさってください。

 

 最後になりましたが、素晴らしい大会を作ってくださった選手の皆さま、ジャッジ・スタッフの皆さま、本当にありがとうございました。

 Welcome Cupは終始雰囲気が和やかで、選手間での交流も盛んだったと感じました。高校で調査型ディベートをやっていた人、英語ディベートに関わっている人、そしてディベート初体験の人……。これからも様々なバックグラウンドを持つ人が集まって、この日本語即興型ディベートの世界を豊かにしていってくれたら、と思っております。選手だけでなく、運営など別の形での参加も広げていくようなので、今後もこのプロジェクトをよろしくお願いします!

 

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  2017/05/13