PRESS #6 全日本大会「観戦のススメ」

皆さんこんばんは。秋も深まり、ディベートの熱いシーズンとなってまいりました。

さて、先日から広報している通り、全日本ディベート連盟は今年、第17回全日本大学ディベート選手権大会を開催いたします!

http://www.coda.or.jp/news/archives/91

2017年12月9日(土)、10日(日)の2日間、全国各地から集まった大学ディベーターがしのぎを削るこの大会。しかし、こんな疑問を抱いている方はいらっしゃいませんか?

「大学生のディベートって、どこを意識して聞けばいいの?」

「他のチームの試合を観に行ってみたけれど、何を学べばいいのだろう……?」

 

自分の試合が無い時はとりあえず他の試合を聴きに行く、という選手の方や、見学に来られている高校生の方も最近は増えているように見受けられます。そこで今回は「大学ディベートの試合を観ることの楽しさ」「そこから何を学べばいいか」というテーマの記事をお送りします!

※今回の記事は、主にディベートのルールをご存知の方向けのものとなっております。

「初めてディベートを観る」という方は、以下のページなどもご参照ください!

ディベートとは

 

1、大学ディベートを観戦してみよう

 

皆さんは、ディベートを「観戦」したことがありますか?

「練習試合は一生懸命しても、他の人の試合まで観る気にはならない……」なんて方もいるかもしれません。しかし、実は一つの試合を通しで観戦してみることは、自分のスキルアップにも直結する良いトレーニングになります。以下、観戦することのメリットを2つほど挙げてみましょう。

 

1-1 色々な議論、価値観を学べる

 

まず、色々なディベーターの議論やジャッジの講評を聞くことで、論題に対する色々なアプローチを知ることができます。

当たり前ですが、「自分が参加していない」試合では、肯定側・否定側ともに、自身と異なる考え方や視点を提示してくることがほとんどです。たとえば、「重要性」「深刻性」とよく呼ばれる哲学の部分は、こうした差異が見えやすい部分です。今回の全日本大会の論題「難民認定の基準の緩和」では、海外から日本にやって来た難民の利益と、日本に元から住む日本国民の利益の間で衝突が起こる可能性があるかもしれません。その際日本は、どのような基準で、どちらを優先すべきなのでしょうか?それはまさにディベーターの用意する「哲学」に委ねられる論点であり、一人ひとり異なる理由付けで自分のサイドを擁護しうるポイントです。

 

自分と異なる考え方を学ぶことは、まず純粋に楽しいことです。またディベーターとしては、同じ論題において戦略の幅を広げられることは勿論、他の論題にもこうした経験を活かすことができます。ディベートの肯定側・否定側の対立軸の中では様々な価値の対立(難しい言葉を使うと、「自己決定権とパターナリズム」「功利主義と個人の権利」などが代表的です)が登場します。こうした考え方の枠組みそのものは、色々な論題に通底するものですから、自分が競技に参加していない論題でも「観戦」には大きな意義があるでしょう。

 

1-2 スピーチを学べる

 

これは1-1より分かりやすいかもしれません。色々なスタイルのディベーターのスピーチを聞くことで、有効な表現方法、効果的な議論の比較の仕方などを学ぶことができます。

全日本大会でも、スピーチには点数(バロット)が付けられ、評価の基準の一つになります。特にハイレベルな試合を観戦してその技術を学ぶことは、「構成」や「表現」の点を伸ばすためにも有効なトレーニングとなるでしょう。特に、両チームの了承を取ったうえで試合を録音しておくと、後でスピーチを繰り返して聞いたりしてその技術を学ぶことができるようになり便利です。

 

 

2、観戦のコツ

 

もちろん、普通にフローシートを取っていくだけでも、上記のように色々なことを学べます。しかし、観戦をもっと有意義なものにするためには少し「コツ」があります。ここではそれを2点ほど簡単に紹介します!

 

2-1 ジャッジや選手になったつもりで試合を観てみよう

 

「観戦」は、試合で自分を第三者の立場に置ける貴重な機会です。そのため、自分を選手やジャッジの立場に置いて、「自分だったら、どんなスピーチ/議論の評価をするかな」と考えるトレーニングを是非してみてください。

 

自分が選手だったらどんなスピーチをするか、を考えると、いつも自分自身が選手だった時とは異なる視点がたくさん出てきます。たとえば、「言葉の定義や説明が曖昧なまま試合が進んでいないか」「矛盾する論点が出ていないか」など、自分が第三者の冷静な立場にいることで初めて検討できる点はたくさんあります。それをどう改善するかを考えることは、自分が試合をするにあたっても役に立つでしょう。

 

また、ジャッジになったつもりで、論点の評価を頭の中でまとめる、という作業も有効です。自分をニュートラルな立場に置いてみると、普通に準備している時とはまた違った見え方がすることがあるのではないでしょうか。また、それを実際のジャッジの講評と見比べて、その共通点と相違点を洗い出してみるのも面白いかもしれません。

その論題で試合をしていない場合も、ジャッジをすることはとても大切です。特に両チームの分析がぶつかっている所でどのように考えて決着をつけるか、といった作業は、他の論題に活かせることは勿論、現実の意思決定にも通じるトレーニングの一つとなるでしょう。

 

2-2 感想戦をしよう

 

2-1に続いて行うと有効なのは、「感想戦」です。ジャッジの講評の前後で、他の聴衆と、その試合をどう見たかについて話してみましょう。先程も述べたように、ディベート大会は異なる価値観や考え方を持つ人が集まって開催されています。そのため、「議論をどう評価したか」「自分だったらどうスピーチしたか」には、まさに十人十色の答えがあります。多くの人と感想を言い合うことで、自分の考えの特徴や「クセ」が見えてきたりすることもあったりします。

 

またそのためにも、もし観戦を検討していたり、ディベートに関心を持ったお友達などがいらっしゃったら、是非お誘いあわせの上お越しください!ディベート大会では、スピーチが多くの人の目に触れるため、その試合を越えてコミュニティ全体で議論が深まっていく側面があります。一人でも多くの方のご参加をお待ちしております。

 

※ただし、熱中しすぎて選手や他の方々の迷惑にならないようご注意ください!特に、試合時間を超過して会場に残ったりしないようご配慮お願いいたします。

 

 

如何だったでしょうか?

今年の全日本大会では、2日目の決勝戦後に「ジャッジ」をテーマとした特別企画も行われます。大会を楽しみ尽くすためにも、選手の皆様は勿論、そうでない皆様も、是非色々な試合を観戦してみていただければ幸いです!

 

また、本大会では、新設した「大学ディベート貢献賞」の表彰も行われます。この賞では、「感謝も、言葉に」のコピーのもと、大学ディベートの発展に寄与した大学生の方を表彰させていただきます。上記のような試合・観戦を通した議論の深まりも、それを支えてくださる方々あってのもの。是非その感謝のお気持ちを伝えるためにも、会場にお越しいただければ幸いに思います。